「配信部屋の防音を自作したい」「賃貸だから工事はできない、でも深夜配信で隣に迷惑をかけたくない」「クローゼットを改造して配信ブースにできる?」——配信・ゲーム実況・VTuber活動を始めた人の多くが、最初に防音のDIYを検討します。

先に前提を1行。配信の音の悩みは「部屋の中で声が響く(反響)」と「隣室や外に声が漏れる(音漏れ)」の2種類で、前者は吸音、後者は遮音の仕事です。吸音材を壁に貼っても音漏れはほとんど減りません。ここを取り違えると、自作の労力が丸ごと無駄になります。

この記事では、防音・音響の専門店 Bo-On Room が、費用別に3つのプラン——約2万円の吸音DIY、5〜8万円の遮音DIY、¥158,840〜の簡易防音室——の作り方と効果、そして自作で届く範囲と届かない範囲を、都合の悪いことも含めて整理します。→ 基礎は 吸音と遮音の違い

結論:マイクの音質(部屋鳴り・こもり)は約2万円の吸音DIYで十分改善する。日中の普通の声量なら5〜8万円の遮音DIY(クローゼット改造・自立パネル囲い)で近隣トラブルを減らせる。深夜の大声・叫び声・ボイスチェンジャーの高い声を「聞こえない」水準にするのは自作の限界を超え、部屋ごと囲う簡易防音室(¥158,840〜)の領域。

先に結論——自作で「消せる音」と「消せない音」

困っていること 音の正体 自作で届く? 合うプラン
声がお風呂場のように響く・マイクがこもる 部屋の反響(吸音の仕事) 届く。効果も出やすい A 吸音DIY(約2万円)
日中の配信で「声が聞こえる」と言われた 壁・ドアを抜ける空気音(遮音の仕事) 条件付きで届く。ドア・窓の対策が前提 B 遮音DIY(5〜8万円)
深夜の配信・叫び声・歌枠が漏れる 大きな空気音+床や壁を伝わる振動 自作では届きにくい C 簡易防音室(¥158,840〜)
キーボードの打鍵音・足踏み・椅子の音 床を伝わる固体音 防振材で軽減できる A+防振マット

配信の音は2種類——反響(吸音)と声漏れ(遮音)を分けて考える

吸音材(ウレタン・フェルト・繊維系パネル)は、音のエネルギーを熱に変えて部屋の中の反射を減らします。マイクに入る音がクリアになり、視聴者に「聞き取りやすくなった」と言われる効果は確実にあります。一方で吸いきれなかった音はそのまま壁を通るため、隣室で聞こえる音量はほとんど変わりません。声漏れを減らすには、質量のある材料で隙間なく囲う遮音が必要です。遮音の基本は質量則と呼ばれ、材料の面密度(1m²あたりの重さ)が2倍になると透過損失は理論上約6dB増えます。石膏ボード1枚(12.5mm厚)で約9kg/m²前後、薄い遮音シート1枚はそれに満たないことが多い——これが「遮音シートを貼ったのに変わらない」の理由です。→ 防音パネル・防音シートは効果ない?

プランA:吸音DIY(約2万円・1日)——マイクの音質を上げる

最も費用対効果が高いのがこのプランです。狙いは声漏れではなく、マイクに入る反響を減らすこと。貼る場所を間違えなければ4〜8枚で体感できます。

手順 やること 費用の目安
1 マイク背面の壁(声が最初に当たる面)に薄型吸音パネルを4枚。賃貸はマスキングテープ下地の上に貼る 静科 E-15 4枚 ¥14,800
2 左右の一次反射点(マイクと壁の中間)に各1〜2枚 E-15 追加(8枚セット ¥22,800 で1〜2を賄える)
3 壁に貼れない場合は有孔ボード+パネルの立て掛け式パネルを自作 ボード数百円〜+パネル
4 ソフト側のノイズ抑制(OBS・Discord)を先に設定。0円で改善する部分を残さない 0円
5 対策前後をスマートフォンの騒音計アプリと録音で比べる 0円

貼る枚数と位置の目安は 配信部屋の吸音は「マイク背面の壁1面」から、立て掛けパネルの作り方は 吸音材の自作・DIY完全ガイド、必要枚数は 必要枚数シミュレーター で計算できます。

静科 SHIZUKA E-15 吸音パネル(300×600×15mm・裏面粘着付き)

正直に書きます:プランAをどれだけ増やしても、隣室に漏れる声の音量はほぼ変わりません。「吸音材を貼ったのに苦情が来た」は、プランAで声漏れを止めようとした結果です。

プランB:遮音DIY(5〜8万円・週末2日)——声漏れを減らす

声漏れを減らすには、質量のある板で囲い、隙間を塞ぐ必要があります。賃貸で原状回復できる範囲でできる自作は、次の3方式です。

方式1:クローゼット改造ブース

奥行きのあるクローゼットの内側に遮音シート+合板(または石膏ボード)を立て掛け、内側に吸音パネルを貼り、扉の隙間に気密テープを貼る方式です。三方を建物の壁に囲まれているため、自作の中では最も遮音が稼げます。弱点は扉(薄い・隙間が大きい)と換気です。扉の内側にも板と吸音材を付け、配信中はUSBファンで排気します。

方式2:自立パネルで囲う

合板に遮音シートを貼った自立パネル(幅90cm×高さ180cm程度)を3〜4枚作り、デスクをコの字に囲います。壁に固定しないので賃貸でも設置でき、撤去も簡単です。上が開いているため天井方向に音が抜け、効果は「囲わない時より下がる」程度にとどまります。声が向かう正面と左右を囲い、天井側は吸音パネルで反射を減らします。

方式3:デスク囲いの小型ブース

マイクとモニターだけを囲う卓上ブースを、合板と吸音材で自作する方式です。反響対策には効きますが、声は口から全方向に出るため、声漏れの低減はごくわずかです。用途を「音質」に絞るなら選択肢になります。

材料 役割 目安
遮音シート(ゴム系・1〜2mm厚) 質量を足す 面積分。単体で使わず必ず板と重ねる
合板12mm または石膏ボード12.5mm 主な質量。石膏ボードは不燃で重い 1枚数百円〜。石膏ボードは角が欠けやすく粉が出る
気密テープ・隙間テープ 継ぎ目と扉の隙間を塞ぐ 音は隙間から素通りするため必須
吸音パネル(E-15など) ブース内の反響を減らす 内側の正面と左右に4〜8枚
USBファン・換気ダクト 熱と二酸化炭素を逃がす PCと人がいる密閉空間は必ず換気
防振マット・ゴム脚 床への振動を切る パネルの脚と椅子・机の下に
遮音DIYの3原則:①重い板で囲う(シート単体は効かない)②隙間をゼロにする(扉・継ぎ目・床との境目)③弱点から先に(部屋のドア・窓の対策をしないと、ブースだけ作っても音はドアから出ていく)。→ 賃貸でもできる防音シートの壁対策

費用の目安:方式1・2で材料5〜8万円(当店試算・合板または石膏ボード、遮音シート、テープ、吸音パネル、ファン)。工数は週末2日。効果の目安:日中の普通の声量なら「聞こえるが気にならない」水準まで下がることが多い一方、深夜の叫び声や歌は残ります。数dBの差で近隣の印象は変わりますが、「聞こえない」にはなりません。

クローゼット改造ブースの作り方(6ステップ・週末2日)

  1. 採寸と換気の設計:クローゼットの内寸(幅・奥行・高さ)を測り、机と椅子とPCが入るかを先に確認します。扉の上か下に排気ファンを置く位置と、給気の隙間をどこに残すかを決めます。給気口がないと排気ファンは機能しません。
  2. 床の保護と防振:床に防振マットを敷き、その上に合板を置きます。賃貸では床に直接ネジや両面テープを使わず、置き敷きで済ませます。
  3. 壁の遮音層:三方の壁に、遮音シートを貼った合板(または石膏ボード)を立て掛けます。板同士の継ぎ目は気密テープで塞ぎ、天井との隙間も同様に埋めます。板は壁に固定せず、突っ張り棒やL字の自立脚で支えると原状回復できます。
  4. 扉の対策:扉の内側にも遮音シート+合板を貼ったパネルを付け、扉の四辺に隙間テープを貼ります。ここが一番音の抜ける場所で、ここを省くと全体の効果が出ません。
  5. 内側の吸音:マイク背面の板と左右に吸音パネルを4〜8枚貼ります。囲った空間は狭いぶん反響が強く出るため、吸音を省くとマイクがこもります。
  6. 測定と手直し:扉を閉め、いつもの配信音量で話し、クローゼットの外と隣室で騒音計アプリの数値を対策前と比べます。差が小さければ、扉の隙間・板の継ぎ目・天井との取り合いを順に疑います。

プランC:簡易防音室(¥158,840〜)——部屋ごと囲う

自作の限界は、扉・天井・隙間・換気・重量を「全部自分で解決する」ことにあります。組み立て式の簡易防音室は、遮音パネルと扉、換気ファン、吸音材を1つの製品として設計してあるため、自作で最も難しい部分が最初から解決されています。工事不要・工具不要で、賃貸でも設置でき、引越し時は分解して持ち出せます。

モデル 内寸(W×D×H) 遮音の目安 価格(税込・送料無料)
OTODASU Ⅱ-G ゲーミング防音室 ブラック(吸音材なし) 1,100×1,100×1,900mm −25dB以上 ¥158,840
OTODASU Ⅱ-G 吸音材付き 1,100×1,100×1,900mm −28dB前後(側面実測・吸音材あり) ¥227,370
OTODASU Ⅱ 吸音材なし ホワイト 1,100×1,100×1,900mm −25dB以上 ¥158,840

OTODASU 組み立て式簡易防音室の外観

3プランの費用対効果を比べる

項目 A 吸音DIY B 遮音DIY C 簡易防音室
費用 約2万円 5〜8万円(材料) ¥158,840〜
工数 1日 週末2日+設計 組み立て1〜3時間
反響・マイク音質 ○(内側に吸音材) ◎(吸音材付きモデル)
日中の声漏れ × ○(ドア対策込みで)
深夜・大声・歌 ×
賃貸・撤去 ○(自立式なら) ◎(分解・移設可)
失敗のリスク 低い 高い(隙間・扉・換気・倒れ) 低い(設置寸法の確認のみ)

自作で失敗する5パターン(正直に)

  1. 卵パック・ダンボール・毛布で「防音」:吸音も遮音もほぼ効きません。見た目がスタジオ風になるだけです。
  2. 遮音シート1枚を壁に貼って終わり:質量が足りず、数dBの差も出ないことがあります。板と重ねて初めて意味が出ます。
  3. ブースは作ったが部屋のドアが無対策:音は一番弱いところから出ます。ドアの隙間テープと重ね対策を先にしないと、ブースの効果が測れません。
  4. 換気なしの密閉:PCと人がいる密閉空間は30分で暑くなり、二酸化炭素もこもります。ファンと吸排気経路を設計に入れてください。
  5. 重い自作ブースの倒れ・床のへこみ:石膏ボードを重ねた自立パネルは1枚で10kgを超えます。転倒防止と床の保護、賃貸なら原状回復の範囲を確認してください。

効果の測り方と、止まらない時の次の一手

  1. 対策前に、いつもの配信音量で話し、鍵盤や壁から1mの位置と、隣室・廊下で騒音計アプリの数値を記録する。
  2. プランAを実施し、録音の聞き比べで反響の変化を確認する(数値より耳で分かる)。
  3. プランBを実施し、隣室で同じ条件で再測定する。差が数dB出れば成功。「聞こえない」を求めるならCへ。
  4. 家族や隣人に「気になったら教えてください」と一言伝えておく。正体の分かる音は許容されやすい。

配信者向けの対策全体像(ソフト設定から防音室まで)は VTuber・配信者のための防音対策完全ガイド、防音室の選び方は VTuber向け防音室 完全ガイド をご覧ください。

よくある質問

吸音材を貼れば配信の声漏れは減りますか?

ほとんど減りません。吸音材は部屋の中の反響を減らしてマイク音質を上げる材料で、隣室への音漏れを減らすには質量のある板で隙間なく囲う遮音が必要です。

クローゼットを配信ブースにすると効果はありますか?

三方を建物の壁に囲まれているため、自作の中では最も遮音を稼げます。弱点は扉と換気で、扉の内側に板と吸音材を付け、隙間テープで塞ぎ、ファンで排気することが前提です。

遮音シートだけで自作ブースを作れますか?

薄いシート単体では質量が足りず、体感できる差が出にくいです。合板や石膏ボードと重ねて使い、継ぎ目を気密テープで塞いでください。

自作で深夜配信の声漏れは止まりますか?

日中の普通の声量なら「気にならない」水準まで下がることがありますが、深夜の叫び声や歌枠を「聞こえない」にするのは自作では届きにくく、部屋ごと囲う簡易防音室の領域です。

簡易防音室は賃貸でも置けますか?

置けます。工事不要・工具不要で、壁や床を傷つけずに設置でき、引越し時は分解して移設できます。設置には内寸1,100mmクラスで約1.3畳の床面積と天井高が必要です。

音質は約2万円の吸音から。声漏れは囲う発想で。
静科 E-15 4枚 ¥14,800/8枚 ¥22,800・OTODASU Ⅱ-G ¥158,840・全国送料無料

静科 E-15 を見る OTODASU Ⅱ-G を見る 5社比較を読む

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